今さら聞けない!人事のための採用ノウハウ
採用コストってどれぐらい?中途・新卒・アルバイト1人あたりの相場と削減方法
2019.11.20
あなたの会社の採用コストはどのくらいですか?「採用コストを下げたい!」というのは、あらゆる企業にとっての課題です。
採用コストの見直し・削減をするには、まず現状把握が必要です。中途採用なのか新卒採用なのか、勤務地や採用したい職種、そして求めるスキルなど、条件次第でコストは変わってきます。
この記事では採用コストの計算方法や、中途・新卒・アルバイト別の採用コスト相場、さらには採用コストの削減方法をご紹介します。
目次
1.採用コストとは
採用コストとは、企業が人材を採用するためにかかる費用のことです。
「新卒」や「中途」、「アルバイト」、さらには「管理職」や「エンジニア」など、採用区分や職種でコストが変動します。
また、採用コストは景気によっても変動します。なぜなら、景気は採用市場における労働者の需給バランスを左右するからです。
優秀な人材を採用するためには、一定のコストが必要不可欠ですが、自社にあった採用手法を選ぶことで採用コストの削減ができます。
まずは、採用区分や職種ごとに必要な採用コストを把握し、整理していきましょう。
2.求人バブル到来!有効求人倍率からみる採用市場
有効求人倍率とは、有効求人数を有効求職者数で割った数値のことで、毎月厚生労働省が発表しています。
数値が「1」より大きくなっている時が「売り手市場」といわれる求職者に優位な状況で、逆に「1」より小さくなっていれば「買い手市場」となり、採用する企業側に優位な状況となります。
2019年5月のデータを見ると、もっとも有効求人倍率が高かったのが東京都と福井県で「2.12」です。これは、市場にいる求職者が全員仕事に就いても、残り半数以上の企業が人材を確保できない状態となります。
最低倍率の神奈川県でも「1.20」で求人数>求職者となり、軒並み売り手市場となっていることがわかりました。
※日本全体の有効求人倍率は「1.63」
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」
2-1.職種別の有効求人倍率データ
求人倍率は市場全体を表す指標です。採用職種によって、市場の温度感が変わります。では、職種別の有効求人倍率も確認しておきましょう。
職種によって数字にかなり開きがあります。もっとも倍率が高いのが、「建築・土木・測量技術者」の6.82倍で、採用コストも非常に高騰することが予想されます。
一方、一般事務に関しては「1」を大きく下回り、0.38倍となっています。売手市場となっている状況に反して、採用がしやすい状況です。
このように、売り手市場であっても職種別にみれば、全く違う状況になることもあるため、予め注意しておきましょう。
有効求人倍率が高い職種ほど、採用コストは高くなる傾向にあります。自社のサービス分野がどのような採用状況にあるのかをしっかりとチェックしておく必要があります。
参考:マイナビ転職「【2019年版】有効求人倍率とは? 全国・都道府県・職種別推移から転職事情が分かる!」
3.採用コストの内訳
採用コストの内訳は、「内部コスト」と「外部コスト」に大きく分けられます。
3-1.内部コスト
内部コストとは、主に面接や採用についてかかる費用のことで、大半が人件費です。
人件費とは、採用に割かれる時間分のコストと考えましょう。面接担当者だけではなく、応募者や内定者との窓口となる人事部の人件費も含みます。その他、懇親会など内定者フォローに使う費用もすべて対象です。
- 面接官及び採用担当者の人件費
- 応募者・内定者への交通費
- 内定者懇親会などの交際費
- 内定者の引っ越し費
- 紹介(リファラル採用)のインセンティブ
3-2.外部コスト
採用コストの外部コストは、主に求人広告にまつわる費用です。
- 求人広告費
- 人材紹介費
- セミナーなどの会場費
- 会社案内の制作費
- 内定者への研修費
外部コストは内部コストと比較すると、工夫しやすいコストです。特に、金額の大きい「求人広告費」を見直すことで、大きなコスト削減に期待できます。
3-3.採用コストの計算式
採用コストを計算する際には、内部コストと外部コストにどのくらいの費用がかかっているのかを洗い出しましょう。
採用コストを計算する目的とは、「採用単価」を導き出すことです。
採用単価は一人を採用するのにかかった費用という意味で、採用単価を意識すれば、人材採用に適切な予算感が把握できるようになります。
例えば新卒を10人採用して、採用にかかったコストが全部で500万円であれば、500÷10=50万円が採用単価となります。
4.採用コストの相場~中途採用~ コストの高い職種は?
4-1.中途採用1人あたりの平均採用費
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中途採用でかかる採用費の多くは「求人広告費」です。
表は、リクルートが2019年5月に発表した従業員規模別の採用単価データです。もっとも採用単価が低いのが300人未満の会社で平均63.6万円、もっとも採用単価が高いのが1,000~4,999人規模の会社で108.5万円となっています。
職種別でいえば、「建築・土木・測量技術者」や「IT関連技術職」など、有効求人倍率が高い職種はそれだけ採用難易度が高くなり、採用コストも高くなる傾向にあります。
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従業員数 平均中途採用単価 300人未満 63.6万円 300~999人 83.0万円 1,000~4,999人 108.5万円 5,000人以上 78.5万円
4-2.中途採用の主な手法は「求人広告」と「人材紹介」
中途採用の主な手法は「求人広告」と「人材紹介」です。マイナビが2018年に実施した「中途採用状況調査」によると、中途採用でもっとも活用された採用手法は「転職サイト(Web求人広告)」が1位で53%、次いで「人材紹介会社」が37.2%となりました。
4-3.「求人広告」と「人材紹介」の費用
まずは求人広告の平均的な費用からみていきましょう。
マイナビが公表した「中途採用状況調査」によれば、2018年の中途採用費用の実績値のうち、求人広告費用は1社あたり284.7万円となっています。
採用単価は、全体(12職種)で平均56.4万円となりましたが、もっとも高い「コンサルタント・金融・不動産専門職」の89.8万円と、もっとも低い「保育・教育・通訳」の13.2万円では約76万円もの開きが出ました。
求人広告の費用は、会社の規模と職種に大きく関わってきます。
中途採用向けの求人広告媒体は多数ありますが、20万円/4週間~というのが相場となっています。
おすすめ中途求人媒体
一方で、2018年に企業が人材紹介サービスに投じた費用は、1社あたり489.3万円と求人広告費のほぼ倍額となりました。これは、人材紹介サービスの方が求人広告よりも採用単価が高くなることが原因です。
人材紹介サービスは、ほとんどの場合が成果報酬型であるため、初期費用は無料になります。人材紹介サービスで発生する主な費用というのは手数料です。企業と採用決定者との間で合意した※理論年収の30~35%が相場です。
※理論年収とは、採用決定者の月次給与・所定外労働手当の12か月分、および理論上の通年賞与の他、交通費以外の諸手当、奨励金および一時金を合計した金額です。
5.採用コストの相場~新卒採用~
5-1.新卒採用1人あたりの採用費
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新卒採用は、求人広告費以外に内定者向けのセミナーや会社説明会が行われ、これらも採用コストに含まれてきます。
表では、新卒採用の場合は、従業員規模が大きくなるにつれて採用単価が安くなる傾向にあります。
これは、新卒採用において「会社の知名度」が募集数に大きく関わるためであり、大企業のほうが、比較的採用活動がしやすいからであると考えられます。
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従業員数 平均新卒採用単価 300人未満 65.2万円 300~999人 80.2万円 1,000~4,999人 72.9万円 5,000人以上 59.9万円
5-2.新卒の採用手法
新卒採用でも、求人広告媒体や人材紹介の利用が活発化していますが、同時に「合同説明会・その他イベント」や「インターンシップ」などを積極的に開催し、間口を広げていく必要があります。
また、外部コストがかからない採用手法として、「※大学就職課」や「ハローワーク」を利用するなども選択肢に入ってくるでしょう。
※大学就職課とはキャリアセンターや就活支援センターと呼ばれ、大学ごとに設立させている課のことです。
新卒採用にはさまざまな採用手法があるものの、求人広告は最もスタンダードな採用ツールです。2大新卒採用サイト、「マイナビ」「リクナビ」は1シーズン100万円前後が相場です。
おすすめ新卒求人媒体
6.採用コストの相場~アルバイト採用~
近頃はアルバイトの採用状況も厳しくなってきています。
2019年現在では、「アルバイト社員の不足感を感じる」という企業が約7割に上り、また約3割の企業が「前年と比較して採用コストが上がった」※
※参考:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
実は、過去アルバイトの採用コスト平均額が、4年間で一気に1.7倍に跳ね上がったというデータがあります。
このデータは2009~2012年の4年間で、1件当たりの求人広告に対する効果と、1名あたりの採用コストの推移を表したものです。
求職者からの「アプローチ数」「応募数」の減少に伴い、面接数や採用数も少なくなっていますが、採用コストは2009年の28,939円から、2012年には51,781円と約1.7倍もの額になっています。
売り手市場という求職者に優位な状況も手伝い、「応募しても面接をキャンセルする」、「面接に合格しても辞退する」など、なかなか採用に結びつかない状況が原因と考えられますね。
アルバイトの採用コストは、これ以降も年々上昇しており、採用コストが増える中でどのように人材を確保するのか、ということが各企業の課題となっています。
※参考:株式会社ツナグ・ソリューションズ「アルバイト・パート1名の採用コストは4年で1.7倍上昇!人材確保のポイントは「応募時の対応」。 」
6-1.アルバイト採用ならではの求人媒体とその他採用手法
アルバイト採用の場合は、ターゲットの年齢で求人媒体を変えることも効果的です。
例えば、若年層の人材が欲しい場合には、スマホでよく見られている求人サイトに出向することを検討しましょう。
逆に高齢層の人材が欲しい場合には、新聞のチラシや地元紙の広告、フリーペーパーに載せる、などが効果的です。
もう一点、アルバイト採用に効果があるのが、「張り紙」です。
この時代にあって、ずいぶんアナログな方法だと思われるかもしれませんが、実はアルバイトの2人に1人が応募する前に職場を下見しているというデータがあります。張り紙には、求人媒体に載せているような条件だけではなく、雇用主の熱意や人柄などが垣間見える表現を載せることでさらに親近感が出るといわれています。
このように広告費を使わなくても、採用活動ができる場合があるので、ぜひ一度試してみてください。
一方で、アルバイトの採用においても、求人広告は代表的な採用手法です。Web媒体のアルバイト求人サイトの他、紙媒体の求人フリーペーパーや新聞折込紙があります。
以下はアルバイト向けの求人広告媒体をピックアップしました。
おすすめアルバイト求人媒体
7.採用コストをどうやって下げる?効果的な方法を紹介
それでは、採用コストを見直す際の効果的な方法を6つ紹介します。
7-1.採用フローを見直す
採用活動の一連の流れとなる「採用フロー」を一度見直してみましょう。
例えば、「会社説明会の規模が大きすぎる」、「書類選考で面接者を残しすぎている」「面接が3次試験まである」などの問題点が上がってくれば、「会社説明会の規模を縮小する」、「面接は2次試験まで」というように、できるだけコストダウンしていくことが必要です。
そもそも、第一段階の「求人広告を公開」の前段階で、求人広告媒体を見直すなどの施策も必要かもしれません。採用フローを考え直すことで、新たな課題が発見できることがあります。
7-2.人材のミスマッチ対策をする
せっかく採用に至っても、「入社前に期待していた人材と違った」というミスマッチが起こると、再度人員補填のための採用が必要になるケースも出てきます。
また、会社側がミスマッチだと思っているということは、採用された側もそのように感じていることが多く、育成を考えていたとしてもすぐに退職されてしまうこともめずらしくありません。そして、何度も求人募集を繰り返すことは、コスト面で大きな痛手となります。
ミスマッチを防止する策は、採用ターゲットを明確化することです。
求めるスキルや人物像などを具体的に書き起こし、採用担当者全員と共有して意思疎通を図りましょう。
7-3.自社採用サイトを上手に活用する
自社の採用サイトは、上手に運用すれば求人広告の出稿を減らすことができます。
採用サイトを作るのに、莫大なコストがかかるのでは?と思うかもしれませんが、「engage(エンゲージ)」など無料で採用ページを作成できるツールもあります。採用サイトを持っていると、求人情報専門検索エンジン「Indeed(インディード)」へ連動させて露出を増やすなどの施策を講じることもでき、求人広告の費用を抑えることが可能です。
- engage(エンゲージ)
エン・ジャパンが提供する採用支援ツールです。無制限の求人掲載・自社採用ページの作成、応募者管理から採用まで、0円で幅広くサポートしてくれます。 - Indeed(インディード)
世界最大級の求人情報専門の検索エンジンです。求人情報検索サイトとも呼ばれます。Indeedのページから検索して表示された求人は、クリックされると自社サイトへ飛びます。Indeedへ登録しておけば、GoogleやYahoo!で調べた時に検索結果にも表示されます。
7-4.新しい採用手法を取り入れてみる
採用コストを削減するには、現在の採用手法を見直し、新しい採用手法を取り入れてみるというのも効果的です。
近頃は「リファラル採用」や「ダイレクトリクルーティング」、「ソーシャルリクルーティング」などの採用手法を取り入れている企業も多く、効率的に採用を行っています。それぞれの特徴をご紹介します。
- リファラル採用
従業員からの紹介で採用する手法。中途採用を中心に導入する企業が多い。自社をよく理解した社員の紹介であるため、社風に合う人材を採用できる確率が高い。 - ダイレクトリクルーティング
サービスサイトやイベントを通じて企業側から求職者へアプローチする手法。人材紹介や求人広告よりも安価に抑えられる場合もあり、かつ転職潜在層へもアプローチできる。 - ソーシャルリクルーティング
SNSを利用して企業の魅力を伝えたり、直接スカウトしたりする採用手法。SNSでの情報交換で求職者との距離が縮まり、かつパーソナリティを理解することで採用時のミスマッチを防ぐ効果が期待できる。
これらの採用手法は、広告費がかからないため、うまく活用することで一気に外部コストを削減できます。
リファラル採用は紹介料として、社員にインセンティブを支払ったとしても数万円~というケースが多いです。ソーシャルリクルーティングの場合、InstagramやFacebookなど、ほとんどのSNSは無料で利用できます。
このように、大きく外部コストを削減できる可能性もある一方、制度設計や運用にかかる時間など、内部コストがかかることも同時に視野に入れておかなくてはなりません。
両者のコストをきちんと比較して、よりコスト削減につながる方法を選択しましょう。
※採用手法の多様化により、自社に合う採用手法がわからないという方は「今さら聞けない!人事のための採用ノウハウ」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
7-5.助成金を利用する
雇用関係の助成金には、さまざまな種類があり、条件を満たすことで助成金を受け取ることができます。
- 中途採用等支援助成金
中途採用者の雇用管理制限を整備し、中途採用の拡大を図った場合に助成される - トライアル雇用助成金
職務経験、技能、知能等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成される - キャリアアップ助成金
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、これらの取り組みを実施した事業主に対して助成される
助成金は、要件を満たしている事業主であれば、原則誰でも受け取ることができます。自社の採用要件と合致している助成金があれば、積極的に申請してみてください。助成金の支給申請期間は、原則申請可能となった日から2か月以内です。
参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
7-6.求人広告媒体を見直す
最後に、もっとも活用度が高いとされる求人広告媒体(求人サイト)の見直しです。
求人広告媒体はそれぞれの特徴と強みがあり、募集する職種や勤務地、求めるスキルなどによって一番適する媒体が変わります。最適な求人広告媒体を選別できれば、自社にマッチした人材に出会える確率が高く、結果コストダウンにつながります。
求人広告媒体も非常に種類が多く、自社に合った最適な媒体選定や有効活用が難しくなっています。
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8.まとめ
今回は、中途採用・新卒採用・アルバイト採用における、採用コストについて説明してきました。
まずは、採用コストの状況がどうなっているのかを改めて確認し、見直せる部分がないかをチェックしてみてください。
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